統合失調症について簡単に分かりやすくご説明いたします

統合失調症を一言で表現するとこんな病気です

統合失調症を一言で表現すると、「本当の事とそうでない事との違いが分かりにくくなる」病気というイメージかと思います。
言い換えると、「現実と非現実の区別がつきにくくなる」病気とも言えるかと思います。

 

専門的な文献に出てくる、「自他の境界線が不明瞭になる」、「自我が崩壊する」等ということは、このようにイメージすると分かりやすくなるかと思います。

 

統合失調症と聞くとイメージしやすい、「幻聴」、「幻覚」、「妄想」といった症状は、この病気の基本的な特徴から発生する二次的なものであるとイメージすると、これらの症状について分かりやすくなるかと思います。

幻聴という症状が現れる仕組み 簡単で分かりやすい説明

幻聴とは

 

統合失調症になると、頭の中で思い浮かんだことが、聴覚(鼓膜や耳石を通して脳に音として認識させる電気信号の授受と脳内での処理による感覚)を通して実際に聞こえているかのようなかん違い(錯覚)をしやすくなります。

 

このような事が日常生活で頻繁におこると、最初はかん違い(錯覚)だと認識できていたことも、「もしかして本当に聞こえているのでは?」と思うようになり、このことが続くと、「聞こえているに違いない!?」と思うように、ついには「聞こえています!!!」(現実であるという認識が事実であるという思い込み)となっても不思議ではないのではないでしょうか。

 

このような、「聞こえているかもしれない」というかん違い(錯覚)を周囲の人に確認すると、「聞こえないよ」と応えてもらうことで、初めの頃は安心出来るかもしませんが、このやりとりが続くと、「疲れているんじゃないの?」と言われるようになり、さらに続くと、言葉に出さないにしても、「おかしいんじゃないの?」と思われてしまい、そのことに自分が感づくと、「わたし、おかしいかもしれない」、「もう、ひとには言えない」と思うようになり、自分の中だけでやりとりをするようになりがちなようです。
自分の中だけでこのやりとりをするようになると、ひとに確認するという客観的な判断材料がなくなり、かん違い(錯覚)をかん違い(錯覚)だと思えなくなっていっても不自然ではないのではないでしょうか。

 

そうこうしているうちに、この「かん違い」(錯覚)はどんどん広がっていき、ついには「聞こえています!!!」となってしまうようです。

 

この「聞こえているかもしれない」、もしくは「聞こえているような気がする」という「かん違い(錯覚=非現実)」が、「聞こえています!!!」という「本当のこと(=現実)」と認識してしまうことが「幻聴」という症状のしくみであるというイメージを持っていただけると良いと思います。
実際に聞こえている音も、思い浮かんだことも、どちらも同じ自分の脳(厳密にいうと少し違います)で処理しているということから考えると、そう不自然なことではないような気がしませんか?

 

幻覚という症状が現れる仕組み 簡単で分かりやすい説明

幻覚とは

 

わたし達人間には五感というものがあります。
つまり、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の五つのことです。

 

最初の話に戻って、
統合失調症を一言で表現すると、「本当の事とそうでない事との違いが分かりにくくなる」病気です。

 

統合失調症になると、これらの感覚のそれぞれが、目や耳、鼻、主に皮膚(身体のほぼ全体)、舌を受信機として発信された電気信号と、そうではないかん違い(錯覚)との区別がつきにくくなります。(幻聴という症状が現れる仕組み参照)

 

これらのかん違い(錯覚)それぞれが、「かん違い(錯覚)」→「もしかして本当に〜では?」→「〜に違いない!?」
そして、ついには「〜〜〜です!!!」となっていくということのようです。

 

この中の聴覚にあたるかん違い(錯覚)の部分を幻聴といい、五つすべてをまとめて幻覚と呼ばれています。
つまり、実際には目に映っていないものが見えているというかん違い(錯覚)を幻視と呼び、臭いのかん違い(錯覚)を幻臭、音のかん違い(錯覚)を幻聴、触れているというかん違い(錯覚)を幻触、味がする(違う味がする)というかん違い(錯覚)を幻味とそれぞれを呼ぶということです。

 

つまり、それぞれの症状の現れるしくみは「基本的には同様のことである」=「本当の事とそうでない事との違いが分かりにくくなる事に発端がある」というイメージを持っていただけるとよいかと思います。

 

 

補足(少し分かりにくいかもしれません)
それら以外には、体感幻覚等と呼ばれるものがありますが、これは触覚と妄想(妄想とは 参照)の組み合わせをイメージすると分かりやすいかと思います。これは、「痛い、熱い、冷たい、押されている(それぞれの錯覚)」等比較的イメージしやすいものから、「毛虫が這っているような感じ」や、統合失調症の方特有の「脳みそが溶けて流れ出ていく感じ」、「手の中がギトギトしている感じ」、「骨がフニャフニャになって無くなっていく感じ」等、一般的にはイメージしにくい、実際にはあり得なさそうな感覚まで多岐に渡ります。

 

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